歯の噛み合わせの悪い状態を不正咬合と言います。今回はウサギの不正咬合
についてお話したいと思います。ウサギの歯(正確には永久歯)は合計で28
本ありますが、その全てが一生涯伸び続けます。通常、餌を食べる際に上下の
歯が擦れ合わさって削れ、伸びすぎることなく一定の長さに保たれています。
しかし、何らかの理由により歯の噛み合わせが悪くなると歯が伸びすぎて様々
な問題を引き起こします。
不正咬合の原因には主に下記のようなものがあり、大きく分けて先天的なも
のと後天的なものに分かれます。
<先天的な原因>
・遺伝的形態異常
生まれつき歯並びに異常があるケースです。症状は早い場合、生後数週間で現れることがあります。
<後天的な原因>
・餌の問題
あまり噛む努力をせずに済む柔らかい餌や高栄養の餌を与え続けられ歯が伸び過ぎてしまった場合、
歯の伸びる方向に変化が生じて、上顎の臼歯は外側(左右)に、下顎の臼歯は内側に傾いて伸びるようになり後天的な不正咬合の原因となります。
硬すぎる餌を与え続けても歯の向きに影響が出てきます。
また餌の中に丈夫な骨格を作るのに必要な栄養が適切に含まれていないことも不正咬合の原因になります。
・歯の損傷
高いところから落ちたりすることによる歯の損傷も不正咬合を引き起こします。
・その他
その他に顎の骨折、顎の感染、腫瘍なども不正咬合の原因となることがあります。
症状としては主に下記のようなものが挙げられますが、
処置せずに放置されると餌を全くあるいは十分に食べられないことによる栄養不良や二次疾患により死に至ります。
・切歯(前歯)の不正咬合
上顎の切歯は口の中にカールするように伸び、伸びすぎると切歯の後方(硬口蓋)に突き刺さってしまいます。
一方、下顎の切歯は口の外に向かって伸びていき、歯肉(歯茎)や唇を傷つけてしまうことがあります。
この結果、食欲の低下や細菌感染などがみられます。
・臼歯(奥歯)の不正咬合
多くの場合、上顎の臼歯は外側へ(左右へ)向かって伸びて頬を、下顎の臼歯は内側に向かって伸びていきます。
歯のエナメル質が鋭い刃物のように尖って伸びていくことが多く、ウサギは痛みによって餌が食べられなくなったり、
傷つけられた頬や舌で細菌感染が起きたりします。またウサギはヨダレを垂らすようになり、
ヨダレによって絶えず湿った状態になった皮膚で皮膚炎が起こることがあります。
歯が伸びすぎるとその歯根までもが伸び、上顎臼歯の歯根は眼や鼻涙管などを圧迫したり、歯根が細菌感染を起こしたりして、眼の病気を引き起こします。
下顎臼歯の歯根は下顎骨を突き破って伸び、ウサギに痛みをもたらすほか、歯根で細菌感染を起こし膿瘍(膿の塊)を形成します。
診断は特殊な器具を使って口の中の歯を観察すること(場合によっては、この検査の際に麻酔をかける必要があります)や、
レントゲン検査などによって行われます。
治療としては、歯のトリミング(伸びすぎた歯を切ったり削ったりする)や抜歯、歯科矯正、
二次疾患の治療などが行われていますが、完治させるのが難しいケースも少なくありません。
不正咬合のあるウサギ(特に先天的な不正咬合を持っていることが明らかな場合)の交配を避けること、
良質の餌を与え歯の伸びすぎを防ぐことなど予防を心がけることが重要です。
健康であっても定期的に獣医師による歯のチェックを受けることも良いでしょう。
また食欲低下などウサギのいつもと違う状態に気づいたら、すぐに獣医師の診断を受けることが本疾病に限らず疾病の早期発見につながります。 |
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